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悪玉コレステロールなんてありません。

なぜかあまり知られていない事実

2015年2月にアメリカの保健福祉省と農務省は「食事から摂取するコレステロールは血中コレステロール値にほとんど影響しない」という科学的データをもとに食事からのコレステロール摂取制限を設けないことを発表しました。

これを受けて、日本動脈硬化学会は2015年5月に「健常者においてはこの記載を支持する」という声明を出しています。

つまり世界中で「食事からのコレステロールは悪さをしない(するという証拠がない)」ということが科学的常識となっているのですが日本の方はあまり知らない方が多いように感じます。

そもそも私たちが食事から摂るコレステロール量は1日約0.3~0.5g。
それに比べ、体内で合成される量は1日約1~1.5gです。

ということはコレステロールの70~80%は体内で合成されるということです。

コレステロールは身体にとって超重要!

コレステロールの役割は、細胞膜、胆汁酸および男性・女性ホルモンの材料になるなど、超重要な役割を担っています。

(1)細胞を包んでいる細胞膜の材料になること
人間はおよそ60兆個の細胞でできており、細胞の内と外を隔てる細胞膜の働きで栄養分などさまざまな物質のやりとりが行われています。
そのためコレステロールが不足するとその機能がうまく働かなくなってしまいます。

(2)脳細胞の神経線維を包む鞘(さや)の成分になること

(3)性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料になること

(4)胆汁酸の材料になること
胆汁酸は、脂肪の分解・吸収に必要なもので、肝臓でつくられ、胆のうにためられて、十二指腸に分泌されます。
この胆汁酸の材料として、毎日たくさんのコレステロールが消費され、胆汁酸は腸管で再吸収されています。

(5)カルシウムの吸収をよくするビタミンDの材料になること
ビタミンDは、食品から摂取するほか、体内でコレステロールから合成されます。


これはコンテストに出た方なら実感していただけると思いますが減量末期は栄養素を必要最低限に抑えるため肌艶が悪くなり、性欲も減衰し無気力状態になることがあります。

まさに元気で活力のある状態に保ってくれるのがコレステロールの役割というわけです。

コレステロールが低いと抑うつ度や自殺率が高い


血清コレステロールと心の健康度の関連についての研究があります。

疫学研究の端緒となった、医学誌『ランセット』(Morgan, RE. et al. Lancet 1993;341.75-79)で1993年に発表された研究です。

この研究は、50歳以上の男性約1000名を対象に、血清コレステロールと抑うつ度の関係について分析しています。

集団全体を総コレステロール160mg/dL未満(低い群)、160~199mg/dL(標準群)、200~240mg/dL(境界群)、241mg/dL以上(高い群)に分け、抑うつ度を比較すると、「低い群」が他の3つの群に比べかなり抑うつ度が高いことが分かりました。

そして、この傾向は50歳代以降の高い年齢ほどその差が大きいことがわかっています。

さらに、最近ではうつ病患者を自殺未遂行為の有無別に分け、血清コレステロールを比較した研究が発表されました。
(Messaoud A, et al. Annals of General Psychiatry 201716:20. Is low total cholesterol levels associated with suicide attempt in depression patients?)

このデータは、自殺行動を実際に起こした患者は、そうでない患者より血清総コレステロールが低いことを示しています。

これらの結果は、血清総コレステロール値が低いと心の健康度も低く、その水準値は自殺行動のリスクまで反映しているのかもしれないことを示しています。

近似した研究結果は多く、血清総コレステロールと抑うつ状態が関係しているのは間違いなさそうで、特にシニア世代の男性では関係が強まるようです。

なぜLDLコレステロールが高くなってしまうのか?

LDLコレステロールが高くなってしまう原因は「運動不足・食べすぎ・飲みすぎ」です。※遺伝の可能性もあります。

有酸素運動・無酸素運動問わず、運動はコレステロール値を正常に改善することが多くの研究で明らかになっています。
中強度以上の運動を毎日30分以上行うことが推奨されます。

また、体内でのコレステロール合成は、休息時や、大量に食べたり糖を多く摂取した時に盛んになります。

つまり、摂取カロリーが必要以上に増えると、コレステロールの体内合成が促進され、LDLコレステロールが増えるので食べ過ぎないことが基本になってきます。

避けたいもの

トランス脂肪酸
マーガリン、ショートニング(菓子パン、ケーキ、スナック菓子、ファストフードなど)
飽和脂肪酸
バター、ラード、肉の脂身

摂りたいもの

ナッツ類、青魚、大豆製品、緑黄色野菜、きのこ、海藻、鮭など

 

まとめ

健康診断で指摘されるLDLコレステロールの値。
そんな時、あなたならどう考えるでしょうか?

肝臓で自然に合成されるコレステロールが過剰になるということは人間にとって不自然な状態・環境だということです。

コレステロールを下げる薬や食品を摂りますか?

なんだかそれってさらに不自然になる気がします。

確かに遺伝的な背景から薬(スタチン)が必要な方もいるでしょう。
しかしほとんどの方にとってそれは必要ないのです。

なぜならコレステロールを「悪玉」にさせてしまう真の原因は「運動不足・食べすぎ・飲みすぎ」にあるからです。

コレステロールを含有する食品を「健康に悪いもの」という評価をしますか?
それとも確実に健康効果が期待できる運動を習慣にしますか?

 


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